Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふゆがれ

冬枯れ

徳永 直

Lesen Sie 冬枯れ (ふゆがれ) von 徳永 直 (とくながすなお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.850 Zeichen · 48 Bildschirme

Aozora Bunko

五

老人はクスンと鼻を一つこすっただけで、矢張り何とも云わなかった。勢いあまって喋べってしまったものの、鷲尾はとっつきないような気持で盃をとりあげたが、酒はすっかり冷えていてニガかった。

気がつくとまたすっかり気持が上ずっていて、醒めかかった頭脳がズキズキしていた。妹婿は昼間の疲で、飯台に凭れたまま眠ってるし、鷲尾はいつものように台所へいって水枕をつくると、子供たちの傍にいって横になったが、とても寝つけそうでなかった。――

襖の破けたとなりの室では、亡母の位牌に灯明をあげたらしく、黄色い光が洩れて、やがてチーンと鐘が二つばかり鳴ると、父親の「お題目」を唱える嗄がれた声がきこえてきた。――

五

おっかぶさるような冬空が毎日つづいた。頭は鉄兜をかぶっているようで、ささえのない下ッ腹は絶えず何かに追ッかけられてるように、トカ、トカと喘えいでいるのだった。さむい家ン中にも落ちつけず、田圃の方へ飛び出してゆくが、どの畦道も土堤道もすぐゆきづまりになって、三十分もすると何か忘れ物でもしたように慌てて帰ってくる。この南九州の特徴で、東京のように寒くはなかったが、大陸的な気候の変化が激しかった。