Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
Lesen Sie 凡人伝 (ぼんじんでん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 98.944 Zeichen · 202 Bildschirme
「前途有望だね」
と私は異存もないが、
「軍人が若くなったね」
と又やった。
「…………」
「兵隊が言うことを聴くかね?」
「聴きます」
「戦争が出来るかね?」
「さあ」
と少尉は迷惑そうだった。
「私達の学生時代には軍人は豪いものだったよ。陸軍でも海軍でも、道で会うと、一人々々拝みたいような心持がした」
「はゝあ」
「軍人は戦争がないといけない」
「はあ」
「一朝国難に際すると、何と言っても軍人だ。あの頃は皆真剣だった。この頃の人間は軍人の恩を忘れている」
「叔父さんの学生時代は日清戦争時代ですか?」
「冗談言っちゃいけない。未だそんな老人じゃないよ」
「失礼致しました。それじゃ日露戦争時代ですね」
「然うさ。君だって多少覚えがあるだろう?」
「一向存じません」
「はてね」
「未だ生れていません」
「ふうむ」
と私は驚いた。
「御覧なさい。人が若く見えるのは自分が年を取った証拠よ」
と妻が笑った。
「成程ね」
「叔父さんはその頃お幾つでしたか?」
「さあ。二十か二十一だったろう」
「それじゃ今の私よりも年下です。軍人が年寄に見える筈ですよ」
と信さんも側面攻撃を加えた。人間は兵隊さんが若く見え始めるほど自分の年が寄って来る。