Japanische Klassiker mit Furigana
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しょや
初夜
山本 周五郎
Lesen Sie 初夜 (しょや) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.384 Zeichen · 35 Bildschirme
いつきは代二郎を見た。顔が歪み、眼から涙がこぼれ落ちた。いつきは涙のこぼれるままの眼で、くいいるように代二郎をみつめ、それから眠っている子の上に頭を垂れた。
「堪忍して下さい、脇屋さま、――」
しかしあとは嗚咽のため、言葉にならなかった。
「私は除村を死なせたくなかった」と代二郎が云った、「――小森のような人間と、命の引換えをさせたくなかったのです、右京亮さまもめがさめればわかって下さるでしょう、除村には出家してもらいましたが、時が来れば必ず家名の立つようにします、よけいなことをしたかもしれませんが、その時の来るまで辛抱して下さい」
いつきは嗚咽に遮られて、答えることができなかった。しかし彼女はその全身で、感謝の情を表白していた。代二郎は桃世にめくばせをし、帰る支度をしながら久良馬を見た。
「今夜はお二人を此処へ泊める」と代二郎は彼に囁いた、「――庫裡へはそう云ってあるからね、私たちはこれで帰らせてもらうよ」
久良馬はむっとした顔で頷き、「桃世」と妹に呼びかけた。桃世は包み物をしていたが、その手を止めて兄を見た。
「脇屋に嫌われるな」と久良馬は云った。