Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

はつつぼみ

初蕾

山本 周五郎

Lesen Sie 初蕾 (はつつぼみ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.525 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

六

……はま女は、

「どなたかおいでなさるか」

と呼んでみた。

曇ったのだろうか星ひとつみえず、風もない静かな夜であった。もういちど呼んで耳を澄ましたが、答える声も聞えず、人のいるようすもない、はま女は赤児を抱きあげ、ともかくも手燭を玄関に置いて部屋へはいった。

六

「まさか捨て児ではあるまいな」

「こんな処まで来て児を捨てる者もございますまいが、どうしたことでございましょうか」

「包になにか書状でもありはしないか」

良左衛門も起きて来て、そう云いながら包みを解いてみた。着替えが二三枚に襁褓、それと臍の緒書があるだけで、手紙のような物はみあたらなかった。町なかなら知らず、わざわざこんな山里へ来て捨て児をするということも考えられない、なにか必要があってそこに置き、戻るのに手間どっているのだろう、そう語りながら待ってみたけれど、更けてもそんなようすはなく、乳を求めて泣く児をあやしすかしながら、夫婦はほとんど眠らずに夜を明かした。

「どれ少し代ろう」

明け方になって良左衛門が児を抱き取った。

「……夜が明けたら名主へ届けるんだな、これは捨て児に違いない」

「この村には乳呑み児のある家はございませんでしたろうか」