Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
……私にはその前から男があるの。……はあッ!」とまた一つ深い、太息をして、更に言葉を続けた。「私は、その男に去年の十二月から、つい此間まで隠れていたの。……もう分らないだろうと思って、一と月ほど前から此地に来ていると、一昨日また、それが、私のいる処を探り当てゝ出て来たの。……私、明後日までにまた何処かへ姿を隠さねばならぬ。……ですから最早今晩きりあなたにも逢えないの。……あなたにこれを上げますから、これを記念に持って行って下さい。」と言葉は落着いて温順しいが、仕舞をてきぱきと言いつゝ腰に締めた、茶と小豆の弁慶格子の、もう可い加減古くなった、短い縮緬の下じめを解いて前に出した。
「へえッ!」と、ばかり、私は寝心よく夢みていた楽しい夢を、無理に揺り起されたようで、暫く呆れた口が塞がらなかった。けれども、しごきをやるから、これを記念に持って行ってくれ、というのは、子供らしいが、嬉しい。何という懐かしい想いをさする女だろう! 悪い男があればあっても面白い! と、吾れ識らず棄て難い心持がして、私は、
「だって、何うかならないものかねえ? そう急に隠れなくたって、……私は君と今これッきりになりたくないよ。