Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
「矢張り何処に居るとも言いませんでしたか。」
と、訊ねて見たが、婆さんも、
「言わないッ! 何処にいるか、それだけは私が何と言って聞いても、『まあ/\それだけは。』と言って何うしても明さない。」
と、さも/\其れだけは、力に及ばぬように言う。
そうなると、矢張り私の心元なさは少しも減じない。それからそれへと、種々なことが思われて、相変らず心の遣りばに迷いながら、気抜けがしたようになって、またしても、以前のように何処という目的もなく方々歩き廻った。けれどもお宮という者を知らない時分に歩き廻ったのとはまた気持が大分違う。寂しくって物足りないのは同じだが、その有楽座の新口村を聴いてから、あの「……薄尾花も冬枯れて……」と、呂昇の透き徹るような、高い声を張り上げて語った処が、何時までも耳に残っていて、それがお宮を懐かしいと思う情を誘って、自分でも時々可笑いと思うくらい心が浮ついて、世間が何となく陽気に思われる。私は湯に入っても、便所に行っても其処を口ずさんで、お宮を思っていた。
明後日までに何とか定めて了わなければならぬ、と、言っていたから、二日ばかりは其様な取留めもないことばかりを思っていたが、丁度その日になって、日本橋の辺を彷徨しながら、有り合せた自動電話に入って、そのお宮のいる沢村という家へ聞くと、お宮は居