Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

なくて、主婦が出て、

「えゝ、宮ちゃん。そういうことを言うにゃ言っていたようですけれど、まだ急に何処へも行きゃしないでしょう。荷物もまだ自家に置いているくらいですもの。……ですから、御安心なさい、また何うか来てやって下さい。」と、流石に商売柄、此方から正直に女から聞いた通りを口に出して訊ねて見ても、其様な悪い情夫の付いていることなんか、少しも知らぬことのように、何でもなく言う。

兎に角、そう言うから、じゃお宮という女奴、何を言っているのか、知れたものじゃない、と思いもしたが、まだ何処へも行きゃしないというので安心した。斯うしてブラ/\としていても、まだ心の目的の楽しみがあるような気がする。けれども其処にいるとすれば、何れ長田のことだから、此の間も、あの「本当に何処かへ行くか知らん?」と言っていた処を見ると、遣って行くに相違ない。その他固より種々な嫖客に出る。これまでは其様なことが、そう気にならなかったが、しごきをくれた心が忘れられないばかりではない、あれからは女が自分の物のように思われてならぬ、と思い詰めれば其様な気がするが、よく考えれば、その吉村という切っても切れぬらしい情夫がある。