Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれのじ
別れの辞
豊島 与志雄
Lesen Sie 別れの辞 (わかれのじ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.330 Zeichen · 37 Bildschirme
ただ予算にはいっていないだけだ。例えば、君は清子を愛していないと云っていた。もし愛するようになったら、初めから愛していたと云うようになるだろう。予算の立直しだ。」
宮崎は黙っていた。公園の中は薄暗かったが、新緑の香がほのかに立罩めて、空気は爽かだった。
宮崎は突然云った。
「もし、僕が彼女を愛していたら、あなたはどう思います。」
「そりゃあ、愛するのは君の自由だが、少し危い。」
「なぜです。」
「ほんとの愛は、世間に対して、闘争形態を取るものだ。然し君には、その力がまだあるまい。力が不足すると、不幸に終るか、それとも……。」
「すっかり云って下さい。」
「死にたくなったりする。然し死んだとて、何にもならない。たとえ君か、彼女か、或は二人とも、死んだとて、ただそれっきりだ。そのために、笹本の酒の味は少しも変りはしない。そのために、おけいの、また長尾や大西の、銚子の数が一つへるわけでもない。」
島村はちらと宮崎の方を見やった。
「君は、清子をどんな女か……品行についてだよ……知ってるだろうね。」
「知ってるつもりです。」
「ああしたところから引抜くには、容易なことじゃない。