Japanische Klassiker mit Furigana
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「べっきょ」について
「別居」について
伊藤 野枝
Lesen Sie 「別居」について (「べっきょ」について) von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.872 Zeichen · 14 Bildschirme
けれども些細なことでも、ちょっと隙き間がありますと、種々な不平が一時に頭をもたげ出しました。けれども私は、いつでもそういう場合にはすぐに避難をする処をもっておりました。それは、辻に対する愛でした。私はいつでもそこに逃げ込みました。そうして、私のその避難所が世間並みの安易な「あきらめ」などのような弱いものでなく、充分に信をおく事のできるしっかりしたものであることを誇りにしていました。
しかしちょうど一年あまり前に、私のいちばん大事なその信は、無造作に奪われてしまいました。いくら躍起になっても一度失くなったものは再びけっして帰ってはきませんでした。そしてその事は、私にとってはたいへんな打撃でした。けれども私は、その打撃によって自分をどう処置するかということを考えなければなりませんでした。そうして、私は非常な苦痛を忍んだ後に、出来るだけ完全な自分の道を歩こうという決心を得ました。そしてその時初めて、五年間どのような事があっても唯の一度も口にしたことのない「別居」を申し出ました。しかし、この要求はいろいろな情実の下に遂げられませんでした。そうして、その情実を無理に退けて進むには、私はあまりに多くの未練と愛着を過去の生活に持ち過ぎました。