Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜんきてんまやけ

前記天満焼

国枝 史郎

Lesen Sie 前記天満焼 (ぜんきてんまやけ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.568 Zeichen · 98 Bildschirme

Aozora Bunko

「誰にな?」と鉄之進は不思議そうにした。

「例の柏屋の明けずの間の。……」

「うむ邪教徒の一味にか」

「はい左様でございます」

「よし」と云ったが鉄之進は、刀の下緒を引抜いた。

「今朝方約束したはずだ、場合によっては助けようと」

「それではお助け下さるので」

「拙者にも縁のある奴原だ。と云うより拙者の先生に、深い縁故のある奴だ、退治れば先生のお為にもなる。――其方は逃げろ! 一人で十分!」

キリキリと下緒で綾を取る。

「それでは」と云って駈け抜けようとした時、裏へ廻った狂信者の群が、ムラムラとこっちへ寄せて来た。

「いけねえ」と喚いて岡引の松吉が、往来の方へ走ろうとした時、青白い龕の光が射し、お久美を先頭に狂信者の群が、ながれるように入り込んで来た。

「こっちもいけねえ」と喚いたが、

「ここは加賀屋か、急場のしのぎだ」

壁へ手を掛けると身を躍らせ、飜然と裏庭へ飛び込んだ。

「誰だ!」と鋭い声がしたが、蔵番の東三の声らしかった。

「シッ、野暮な、大声を立てるな! ……よッ手前は大学一味の」

「何を! 手前は?」

「丁寧松だア」

格闘をする音がしたが、つづいて松吉の声がした。

「蔵の戸が開いてる! や、死骸! しかも二人だ! こりゃア大変! ……息がある息がある虫の息だ!」