Japanische Klassiker mit Furigana
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けんきょう
剣侠
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠 (けんきょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.961 Zeichen · 310 Bildschirme
「源女殿、要介じゃ。いつもの発作が起こられたか」
そう云った声が通じたと見える、源女は顔を上げて要介を見たが、
「先生!」とやにわに縋りついた。
「陣十郎が! 水品陣十郎が!」
「陣十郎が? どうなされた?」
「桟敷にいました! 妾につき纏い!」
「…………」
要介の顔色もにわかに変わった。
「彼、悪鬼、江戸まで来たか!」
「先生!」
「大丈夫」と要介は云った、
「ついて居る、わしが、大丈夫じゃ」
「はい……先生! ……でも妾は! ……恐ろしい、恐ろしい、恐ろしい!」
「自分で自分を苦しめてはいけない。……自分で自分を恐れさせてはいけない。……秋山要介が付いて居る」
剣鬼と剣聖
1
俺の長くいる場所ではない、こう思って浪之助がその部屋を出たのは、それから間もなくのことであった。
書割や大道具の積んである間を、裏木戸の方へ歩いて行った。
と、何かなしにゾッとした。
で四辺を見廻して見た。
書割が積んであるその横手の、薄暗い一所に水品陣十郎が、刺すような眼をしてこちらを見ていた。
「あ」と浪之助は自分ながら馬鹿な、と云うよりも臆病千万な、恐怖に似たような声をあげ、足を釘づけにしてしまった。