Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
けんきょう
剣侠
国枝 史郎
Lesen Sie 剣侠 (けんきょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.961 Zeichen · 310 Bildschirme
相手の猪之松の剣の技、己と伯仲の間にあり寸分の油断さえ出来ないからであった。
が、そういう周囲の騒ぎも、今は全く静まっていた。数間を離れて百姓や旅人、そういう人々の見物の群が、円陣を作って見守っているばかりで、気味悪いばかりに寂静としていた。
二本の刀が山形をなし、朝の黄味深い日の光の中で、微動しながら浮いている。
二人ながら感じていた。――
(ただ目茶々々に刀を振り廻して、相手を切って斃せばよいという、そういう果し合いは演ぜられない。男と男だ、人も見ている。後日の取沙汰も恐ろしい。討つものなら立派に討とう! 討たれるものなら立派に討たれよう!)
二人ながら心身疲労していた。
気疲労! 気疲労! 恐ろしい気疲労!
技が勝れているだけに、伎倆が伯仲であるだけに、その気疲労も甚だしいのであった。
向かい合っていた二本の刀の、その切先がやがて徐々に、双方から寄って来た。
見よ二人ながら踏み出している右足の爪先が蝮を作り、地を刻んで一寸二寸と、相手に向かって進むではないか。
ぢ――ン!
音は立たなかった。
が、ぢ――ンと音立つように、互いの切先が触れ合った。