Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

かご

加護

宮本 百合子

Lesen Sie 加護 (かご) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.147 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

「まあお恵さん……」

ふと会った視線を避け、お幾は思わず伏目になった。かねてから思いもし願いもしたことが、現在の事実となって目前に現れて見ると、彼女は些(すこし)も予想したような、晴々とした大悦びは感じ得なかった。

却って、何か今迄の自分の経験の中にはないものを、お恵さんは確かりと我ものにして、小さいながら、弱々しく見えながら厳かな重みを持て据ったような心持がする。お幾は、先刻(さっき)までは十分に重かった自分が、俄にふうっと他愛もなく軽いものになったような心持がした。

けれども、もう二十年も以前にその青春時代の教育をうけた彼女には、自分の胸に湧き起ったそれ等の気分がどこから来たのか細かに考えるだけの力は持たなかった。

富裕な、地上的にあらゆる幸福を身に備えた者が、それ等の甘美な恩寵から、不意な災禍で追放されることを恐れて始めた「信心ごと」は、不幸に不幸を重ねた者が、底の底から求めて神に双手を延した心持を、そう容易く直感することは出来ない。――

然し、お幾は、長く「考えても解らない理窟」に拘泥する質ではなかった。彼女は間もなく持前の愉快さを回復した。