Japanische Klassiker mit Furigana
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Lesen Sie 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.262 Zeichen · 243 Bildschirme
「へい」
「お前は馬鹿だね」
と母親は相手にしなかったらしい。自信がある。
「何故でございますか?」
「負ける心配があるの?」
「無論ございませんけれど」
「それじゃ宜いじゃありませんか?」
「でも」
「何故?」
「お隣りの坊っちゃんは福徳長者の相ですって。大したものですって」
「まあ!」
「見れば見るほど好くなりますって、易者が申していました」
「易者が来たの」
「通りがかりのお爺さんです。このお子さんは有り余って施しをする人相ですって」
「家の坊やは何う?」
「さあ」
「見て貰わなかったの?」
「へえ。なんだか汚らしい爺さんでしたから」
「乞食でしょう、そんなのは屹度」
「でもお隣りの奥さまからお礼を戴いて帰りました」
「乞食だから貰って行ったんでしょう。そんなものゝ言うことが当てになるものですか?」
「兎に角、縮緬にして戴かなければ、私、御奉公が勤まり兼ねます」
とお由は地位を賭しての申入れだった。この女は忠義者で、僕が小学校へ上る頃まで勤め続けた。
店には番頭が数名いた。恐らく皆若い元気者だったろう。或日、僕を神輿担ぎにして、ワッショ/\と喚きながら、隣りへ押し寄せた。示威運動の積りだった。