Japanische Klassiker mit Furigana
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けしょうのもの
化生のもの
豊島 与志雄
Lesen Sie 化生のもの (けしょうのもの) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.086 Zeichen · 27 Bildschirme
軽蔑と無関心とは紙一重の差だったのである。
丁度その頃のことである。
小泉美枝子は少しく思い悩んでいた。彼女自身にも訳の分らない欝陶しさで、一時間も、二時間も、ぼんやりしていることがあった。それでも、来客にはすべて快活に応対した。習性なのである。
浅野正己が来た晩、美枝子は彼を応接室の方へ通さした。中学生の哲夫の勉学を週に二回ほど見てもらってる男なので、哲夫が風邪の心地で寝ているところだから、そのまま帰してもよかったのだが、ちょっと心にかかることがあったのである。彼女は哲夫の様子を見て、それから応接室へ出て行った。
浅野はつっ立って、壁にかかってる洋画の風景を眺めていた。慌てたようにお時儀をして、まだ立っていた。
「どうぞ。」
窓際の小卓を美枝子は指して、自分は横手のソファーに腰を下した。
「哲夫君、いかがですか。」
「ちょっと風邪の気味ですけれど、一日か二日、臥っておりましたら、なおろうかと存じます。お知らせするひまがなくて、済みませんでしたね。」
「いえ、僕の方は構いませんが……どうぞ、お大事に。」
も少し居たものか、すぐに辞し去るべきか、浅野は迷ってるらしかった。