Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きただけとあさひだけ

北岳と朝日岳

木暮 理太郎

Lesen Sie 北岳と朝日岳 (きただけとあさひだけ) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.121 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

野呂川の谷には伐採の人夫が入り込んで小屋掛している。明日はお盆の十三日に当るから、人夫衆は里に帰ったろうが、小屋に番人は居る筈である。ここから広河原まで一日でも行かれるが、慣れぬ人が無理をするでもないから、明日はゆっくり立って北沢の小屋に泊り、次の日広河原に行きなさるがいい、そうすれば足も疲れないから、一日でお山をかけるにも都合がよかろうとの話だったので、すっかり安心して明くる朝遅くまでぐっすり寝てしまい、宿を出たのは午前九時頃であった。八月の十一日である。

涼しい筈の朝の谷間も、日が高いので河原の石は焼けはじめていた。写真も撮さなければ記録も取らない、至って暢気な山旅ではあり、支度といえば単物に脚袢草鞋、荷物といっても着換の単物二、三枚にシャツ一、二枚、それに寒さの用意として真綿入りの筒袖襦袢二枚、それを油紙に包んで振分けにして肩に掛けた身軽さの為か、ゆっくり歩く積りでもいつか急ぎ足になってしまう。駒ヶ岳への道と岐れ、暫く沢に沿うて遡るとやがて道は繁った林の中に入り、一時間も登るともう峠の頂上で、間もなく北沢の小屋に着く。大きな小屋はひっそりとして人の気配もない。