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Japanische Klassiker mit Furigana

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きただけとあさひだけ

北岳と朝日岳

木暮 理太郎

Lesen Sie 北岳と朝日岳 (きただけとあさひだけ) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.121 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

それで右のものを登ることにした。初めは傾斜もゆるく楽に登れたが、沢が二岐している左を取ってからは、俄然急峻の度を増し、小瀑布が連続して現われる。藪を押分けて高い崖の上を迂廻したり、瀑のしぶきを浴びながら横をへずったりして、三時間余りも悪戦苦闘を続けた後、未だ尾根に出られないで一休みしている中、終に雨が降って来た。こうなると早いもので、瞬く暇に濃霧はあたりを罩め、帰りの程さえ覚束なくなった。急いで元の道を引返したが、へとへとに疲れて小屋に帰ったのは、カンテラの光が雨の中にぼうと滲み出す黄昏時であった。

翌三十一年の八月中旬、お盆といえばここ数年の間いつも旅で過すようになっていたので、盆前に帰宅せよと注意されていたが、今年は三月に閏があって、旧盆は八月の二十九日が十三日に当っていた。これに安心して、鳳凰山に登った序に南御室から再び広河原に至り、去年と同じ沢筋から今年こそ白峰の絶頂を極めんものと、人夫の一人と同伴して、今度は三岐した左の沢を登り、カンジキを持たない為に雪渓では苦しめられたが、さして長くはないので四十分とは懸らなかった。雪が尽きると谷は俄に蹙まり、竪樋のように急峻となったので、左側の尾根に移り、丈の高い偃松に交って岳樺や七竈、深山榛などが灌木状に密生している中を押し分け掻き分け攀じ上った。