Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じゅうにしこう

十二支考(上)〔全2冊〕

南方 熊楠

Lesen Sie 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 290.735 Zeichen · 566 Bildschirme

Aozora Bunko

事隙なし、暫くあつて比良の高峯の方より、焼松二、三千がほど二行に燃えて、中に島のごとくなる物、この竜宮城を指してぞ近づきける、事の体を能々見るに、二行に点せる焼松は、皆己が左右の手に点したりと見えたり、あはれこれは、百足蛇の化けたるよと心得て、矢比近くなりければ、件の五人張に十五束三伏、忘るゝばかり引きしぼりて、眉間の真中をぞ射たりける、その手答へ鉄を射るやうに聞えて、筈を返してぞ立たざりける、秀郷一の矢を射損じて安からず思ひければ、二の矢を番うて、一分も違へず、わざと前の矢所をぞ射たりける、この矢もまた、前のごとくに躍り返りて、これも身に立たざりけり、秀郷二つの矢をば、皆射損じつ、憑むところは矢一筋なり、如何せんと思ひけるが、屹と案じ出だしたる事あつて、この度射んとしける矢先に、唾を吐き懸けて、また同じ矢所をぞ射たりける、この矢に毒を塗りたる故にや依りけん、また同じ矢坪を、三度まで射たる故にや依りけん、この矢眉間の只中を徹りて、喉の下まで、羽ぶくら責めてぞ立ちたりける、二、三千見えつる焼松も、光たちまち消えて、島のごとくにありつる物、倒るゝ音大地を響かせり、立ち寄りてこれを見るに、果して百足の※なり、竜神はこれを悦びて、秀郷を様々に饗しけるに、太刀一振、巻絹一つ、鎧一領、頸結うたる