Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 290.735 Zeichen · 566 Bildschirme
熟と観察するに、壺中の石の配置や光線が網眼に映る工合、蠅を飛び下す小孔の位地から蠅を持ち行きやる人の手の左右など、雑多の事情に応じて、蠅が孔より飛び入る方角趨勢がほぼ定まりある。蛙のうち最も賢き奴一疋これを知りて、その日蠅が飛び入りて、必ず一度留まるべき処に上り俟ちて居ると、蠅をやるごとにちょうどその蛙の口に吸わるるごとく飛び行きて啖わる。五、六度もかくのごとくで一つも過たぬ。その蛙が飽き足りて食わぬとなると、今度は蠅が飛び入りて、この蛙の辺にちょっと留まり、更に転下して岩の上の蛙の口に堕つる事、魅力もて吸わるるごとし。もしそれを脱るると、また他の蛙の方へ飛び行きて啖わる。能々観ると、岩面よりも岩の上に高坐した蛙の方が留まりやすき故、蠅が留まりに行って啖われるので、これらも大抵野猪と同じく、蠅の飛ぶ道筋が定まりおり、その道筋に当る所々に、蛙が時移るごとに身を移して、頭を擡げて待ちいるので、時と位置により、蛙の色種々に少しながら変るもなるべく蠅を惹き寄せる便りとなるらしい。一度忰が牧牛場から夥しく蠅を取り、翼を抜いて嚢に容れ持ち来り、壺の蓋を去って一斉に放下せしに、石の上に坐しいた蛙ども、喜び勇んで食いおわったが、例の一番賢い蛙は、最初人壺辺に来ると知るや、直様蓋近き要処に跳び上がり、平日通り蠅を独占しよ