Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 290.735 Zeichen · 566 Bildschirme
そもそも蛇ほど普通人に多く誤解され居るものは少ない。例せば誰も蛇は常に沾れ粘ったものと信ずるが、これその鱗が強く光るからで、実際そんなに沾れ粘るなら沙塵が着き、重りて疾く走り得ぬはずでないか。その足に関する謬見は一層夥しく、何でも足なければ歩けぬと極めて掛かり、何がな足あるにしてしまわんと種々の附会を成した。支那の『宣室志』にいう、桑の薪で炙れば蛇足を出すと。オエン説に米国の黒人も蛇は皆足あり炙れば見ゆという由。プリニウスの『博物志』巻十一に、蛇の足が鵝の足に似たるを見た者ありと見ゆ。しかるに近来の疑問というは、支那道教の法王張天師の始祖張道陵、漢末瘧を丘社に避けて鬼を使い、病を療ずる法を得、大流行となったが、後蟒蛇に呑まる。その子衡父の屍を覓めて得ざりければ、鵠の足を縻いで石崖頂に置き、白日昇天したと言い触らし、愚俗これを信じて子孫を天師と崇めた(『五雑俎』八)。
ギリシアの哲学者ヘラクレイデース常に一蛇を愛養し、臨終に一友に嘱してその屍を隠し、代りにかの蛇を牀上に置き、ヘラクレイデースが明らかに神の仲間に入った証と言わしめたと伝うるもやや似て居るが、張衡が何のために鵠の足を崖頂に縻いだものか。