Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 290.735 Zeichen · 566 Bildschirme
蛇の効用
これが少なくとも、熊野の宿主寡婦が安珍に迫った話にもっともよく似居る。
『油粕』に「堂の坊主の恋をする頃、みめのよき後家や旦那に出来ぬらん」とあるごとく、双方とも願ったり叶ったり。明き者同士なれば、当時の事体、安珍の対手を清姫てふ室女とするよりは、宿主の寡婦とせる方恰好に見える。外国でも色好む寡婦、しばしば旅宿を営んだ(ジュフールの『売靨史』や、マーレの『北土考古篇』ボーン文庫本三一九頁等)。一九〇七年版カウエルおよびラウス訳『仏本生譚』五四三に、梵授王の太子、父に逐われ隠遁せしが、世を思い切らず竜界の一竜女、新たに寡なるが他の諸竜女その夫の好愛するを見、ついに太子を説いて偕に棲むところあるなど、竜も人間も閨情に二つなきを見るに足る。この辺で俗伝に安珍清姫宅に宿り、飯を食えば絶だ美し。窃かに覗くと清姫飯を盛る前必ず椀を舐むる、その影行燈に映るが蛇の相なり。怪しみ惧れて逃げ出したと。
蛇の効用
この辺でまた伝えしは、前掲トチワの国では蛇を常食としダシを作ると。されば現時持て囃さるる「味の素」は蛇を煮出して作るというも嘘でないらしいと言う人あり。琉球で海蛇を食うなどを訛伝したものか。