Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 290.735 Zeichen · 566 Bildschirme
迷うて焦れ死んだと見ゆ。以て以前邦人が香の嗜み格別で、今日雪隠へ往って手を洗わなんだり、朝起きて顔を洗わずコーヒーを口に含んで、歯垢を嗽ぎ落して飲んでしまう西洋人と、大違いたるを知るべし。
ただし最古く香の知識の発達したはまずアジア大陸諸国で、支那の『神農本草』既に香剤を収めた事多く、『詩経』『離騒』に芳草しばしば見え、返魂招仙に名香を焼く記事を絶えず。一七八一年ビルマに滅ぼされた旧帝国アラカンの盛時、国中に十二殿ありて、十二町に散在す。各町の知事毎年その町良家新産の女児を視て最も美な者十二人を選び、殿中に養い歌舞を習わせ、十二歳の始めにこれを王宮に進め、旧制に従って試験を受く。まず娘どもを浴させ新鮮潔白な絹衣を着せ、高壇に上って早朝より日中まで立たしむると、熱国の強日に曝され汗が絹衣に徹る。一々それを新衣に更えしめ、汗に沾うた絹衣を収めて王に呈す。それには予て着た本人の住所と父の名を書き付け居る。王一々これを嗅いで汗の香好き娘は強壮と知って宮に納れ、好からぬはその絹衣を侍臣どもに渡すと、侍臣各々王から受けた衣に書き付けた名の娘を妻として伴れ去ったので、アラカン王は代々美貌よりも香好き女を貴んだのだ(一五八八年版、ラムシオの『航記紀行全集』