Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Lesen Sie 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) von 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.906 Zeichen · 495 Bildschirme
ホーンの『ゼ・イヤー・ブック』一八六四年版一二六頁に、豕能く風を見るてふ俚言を載す。豕の眼は細いが風の方向を仔細に見分くるのであろう。人間にも一つの感覚で識るべき事相を他の感覚で識り得るのがあって、ある人妻の体内にある故障ある時、何となく自分の口中にアルカリ味を覚えるあり。
三十三年前、予米国ミシガン州アンナボアに佐藤寅次郎氏と野原の一つ家に住み、自炊とは世を忍ぶ仮の名、毎度佐藤氏が拵え置いた物を食って出歩く。厳冬の一夜佐藤氏は演説に出で、予一人二階の火も焚かざる寒室に臥せ居ると、吹雪しきりに窓を撲って限りなくすさまじ。一方の窓より異様の感じが起るので、少しく首を転じて寝ながら睹ると、黒紋付の綿入れを着た男が抜刀を提げて老爺を追うに、二人ながら手も足も動かさず、眉間尺の画のごとく舞い上り舞い下りる。廻り燈籠の人物の影が、横に廻らず上下に旋ったらあたかも予が見た所に同じ。しかし影でなくて朦朧ながら二人の身も衣装もそれぞれ色彩を具えた。地体この宅従前住人絶え家賃すこぶる低廉なるは、日本で見た事もない化物屋敷だったのを世話した奴も不届だが、佐藤は俺より早く宿ったから知っていそうなものと、誰彼を八ツ当りに恨みながら見れば見るほど舞って居るのは、本国の田舎芝居の与一と定九に相違ないので、雪降りの山崎街道も聞き及ば