Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうしまつ
十姉妹
山本 勝治
Lesen Sie 十姉妹 (じゅうしまつ) von 山本 勝治 (やまもとかつじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.110 Zeichen · 20 Bildschirme
という様な眼色で慎作を見た。
祖父の罵りと迫る貧困と、さし招ねく誘惑の中で、どう梶をきめて好いか迷い乍ら、辛ろうじて自分を尊重してくれる父に、慎作は心から感謝した。
けれど、それから一週間ほど経って、委員会が永引いたため夜十時頃帰宅した慎作は、敷居を跨たぐと同時にはッとして棒立になった。蚊遣りの煙りが薄い幕の様に立ちこめたほの暗い土間で、白襦袢一枚の父と祖父とが並んで坐り、父は板をカンナで削っていた。坐禅めいたあぐら姿の祖父が、両手を膝に端然とつき、亀の様に首を延ばして父の手付を頼もし気に覗き込んでいた。薄い燭光と蚊遣りの煙りに包まれた二人の周囲に、心なしか、何か秘密の作業場と云った雰囲気が感ぜられた。門口に突立った慎作をみて、台所で縫物をしていた母も、土間の二人も、一瞬、息を呑んで体を固ばらせた。と、父は慌てて側に置いた鳥籠を糠桶の蔭へ押しやった。そして、不自然なほどかがみ込んでカンナに力を入れた。「シュッ、シュッ」と、カンナの音が何かの悪い前兆の様に四辺に際立って、むくれあがる白いカンナ屑が傷ついた者の様に転がった。白い眉をあげて祖父は屹と慎作を見たが、思い返したように舌打して向き直り、故意と慎作を無視する様な高い皺枯れ声を出した。