Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうしまつ
十姉妹
山本 勝治
Lesen Sie 十姉妹 (じゅうしまつ) von 山本 勝治 (やまもとかつじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.110 Zeichen · 20 Bildschirme
父の飜意に、慎作は自分のために飼鳥を思い止まってくれたのだと言う喜こびだけでは足りない、もっと大きい感激を覚えた。寧ろ自分への愛だ等と推断するのは、父への冒涜だと思った。父に一つの根強い自覚を見た……そう慎作は考えた。
が、その翌晩、何処へ行ったのか父は十二時過ぎまで帰らなかった。それは今までに無い異例だったので慎作は非常にいぶかったが夜更けに帰宅した父の、大きい過ちでも犯したような自卑的な眼差しと物腰しを、狸寝の眇めに見せつけられて、尚の事、不審を大きくした。不躾な祖父の追窮にも、父は誤魔化す様に笑うのみではっきり言おうとはしなかった。それが隔日か、二日置きに半月程も続いた。
その間に只一度、珍らしく濁酒を呑んで酔った時、父は哄笑しながら「まあ、爺さんも、慎作も、心配せんと見てておくれ、今に皆んなをアッと言わせるからな、それまで種明しはおあずけや、あははは、近いうちに、皆んなでエビス顔やぜ」と言った事があったが、その調子が如何にも附元気らしく、あはははと笑っても、その笑顔が今にも惨めな泣顔に変りそうなのを、慎作はいやにはっきり感じた。併し父は、それ以上の詰問には碁盤の様に固ばるのみで答えなかった。