Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ(に)
千世子(二)
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子(二) (ちよこ(に)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.249 Zeichen · 31 Bildschirme
遠くからながめる夏の暮方の森林の様な心の色が何にでもおだやかな影を作って「我」の勝った張強い千世子の心さいその影のかすかな影響をうける事さえあった。
自分の好み、自分の思想、などと云うものはまだそうよく知り合わない千世子に明す事は一寸もないと云って好い位だった。
自分が進んで話を切り出し、自分が自分を明かにする事よりも、人の云い出す話を静かに聞き、他人を細々と観るのがすきな人だとじきに知った千世子は始終自分のわきに眼が働いて居る様な気がして肇と相対して居るときには例え其の手際は良くなくってもあんまり見すかされないだけの用心をした。
何と云う事なし、私は落ついた「まばたき」の少ない眼で見られるのは堪らなくいやなんです。
肇に対して自分の知識を深遠なものにし、自分の思想と云うものを尊いものにして置きたい千世子はあんまり不用心に知って居るだけの事は話さない。
お互に或る無形の鏡を持って照し合わせ様として居るのを又お互に知って居た。
時々亢奮した目附で何か云い出そうとしてはフット口をつぐんで静かな無口になるのを千世子は興味ある気持でながめた。
肇のすきこのみなどを千世子は話すまで千世子は聞くまいと思ったし、千世子のすきこのみ、毎日仕て居る事、などは同様肇は何も知らなかった。