Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちよこ(に)

千世子(二)

宮本 百合子

Lesen Sie 千世子(二) (ちよこ(に)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.249 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

――○――

其の日は随分暑かった。

明けられる「まど」は少し位無理をしたって開けっ放して客があったらすっかり裡が見える様にしたまんま書物をして居た。

ギッシリと書籍をつめて趣のある飾り方をして居る千世子の部屋を「誰かに見せてやりたい」などとも自分で思って居る千世子は出来る事なら肇にこれを見せて驚かしてやりたいと思わないでもなかったけれ共仕事に段々気が乗るに随って肇に部屋を見せてやりたいなんかと云う気持が感情の裡から抜け出して仕舞った。

そしていつもの癖をむき出しに紙をなめる様にしてペンを運ばして居た。

そうして居るうちに肇が来て帰って仕舞ったと云う事は思いもよらない事だった。

肇は母親が呼ぼうとしたのに邪魔するのはお止めなさいって止めたなどとあとから聞いた。

でもまけおしみの強い千世子はそれについてあとでは一言も云わなかった。

肇に話そうと思って居た事を夜母親に話してきかせた。

どう云う性格の人だと御思いになる?

などと千世子は母親に云った。

けれ共これぞと云う人格をはっきり云う様な事はしなかったが心のなかでは「ハーア」と思って居る位は千世子にだってわかって居た。