Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ
千世子
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子 (ちよこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 83.104 Zeichen · 164 Bildschirme
「又? どうしたの? あんまり生暖かいからでしょう」
千世子は身ぶるいが出た。あんまりしなやかな世間知らずの若様の様な口調で云ったHの言葉や態度がかたくなった千世子の心の中にスーッととけ込んで行った。ねむくなる様な気持になって、
「少し……でも何でもありゃあしないの、二人とも私の居るのを忘れた様にしていらっしゃるからのけものにされて居た様で……」
つっぷしたまんま右の眼のすみでHをみながら千世子は云った。
「何だろう、まるで赤坊の様な事を云ってるネ。さっき、『吾袖の記』を話していたらつい、貞操と云う事になっちゃってねエ、ほんとうにお前なんか忘れたんだよ」
「そう、でも今日はそんな話するより何か美味しいお菓子でもたべた方がいい」
千世子はケロンとしたかおで云った。三人のまだ笑いのとまらないうち、
「山田の源さまがいらっしゃいました」
女中がとりついで来るとすぐそのあとから千世子がいつでも「育ちすぎたんだ」と云うほど大きな商科に入ってる従兄が入って来た。
「ヤア」
二人は男のだれでもがする様にかけ声をかけあってわけのわからない笑いがおをしあった。Hはしばらくはなしてから又製図台に向った。