Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ちよこ

千世子

宮本 百合子

Lesen Sie 千世子 (ちよこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 83.104 Zeichen · 164 Bildschirme

Aozora Bunko

「随分御不沙汰ですネエ、学校がいそがしかったんですか」

母がきく。

「エエ論文の材料を集めてたんで今年になってから始めてですネエ」

源さんはいつもの君子の様なおっとりした調子で云った。

「何の論文?」

千世子は少し馬鹿にしたらしく唇をぴりぴりふるわせながら云った。

「何って、貴方には云ったって分りませんよまるで何にもしらないんだから」

小さな小供に云ってきかす様な口振りがかんしゃく虫をつっついた。

「そんなに見下さずとようござんすわ、どうせ源さんの書く論文じゃたいていねえ……」

と云って小鼻をぴョんとひょこつかせた。

「女らしくないよ!」

号令をかける様に母親は注意した。

「Hさんも、そんなになさらずといいでしょう、少し御仲間入りなさいよ!」

「そうですワ、皆がかおを見合わせて居るのに一人背中を向けた人が居るって云うのは、白粉のむらについたのよりいやなもんですわ」

千世子は合槌をうった。

「大変きどった云い様をしましたネエ、そいじゃあそっちを向きましょう」

Hはつま先で椅子を廻してこっちを向いて、源さんの顔とHさんのかおが並んだ。

だまってHのかるく動く口元を見て居た瞳を源さんの五分がり頭にうつそうとした時源さんがさっきっから自分を見つめて居たのを知った。