Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよじのおどろき
千代次の驚き
豊島 与志雄
Lesen Sie 千代次の驚き (ちよじのおどろき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.413 Zeichen · 19 Bildschirme
だけどもう村尾さんは、何にも興味がなさそうに、あたしの云うことなんか耳にもとめずに、小唄をくちずさんだりして、投げやりな浮いた眼付をしているんです。僕もこれで、無理なこともしてきたし、さんざん苦労もしたし、一人前の男になったものだと、ひとごとのように云うんです。あたし何だかなさけなくなって、やたらに酒をのんでやりました。
そうしたところへ、電話でした。もう十一時半頃でしたでしょうか。日頃ひいきになってるかたのお座敷だったので、何の気もなく受けて、戻ってくると、村尾さんはしらけた顔で、笑いながら神経質に、お座敷だろうから帰るよと、すぐに立上ろうとなさるんです。あたしはなおなさけなくなって、ほんとに涙ぐんで、さんざんだだをこねてやりました。今晩はどうしたって帰さない、ちょっとで貰えるお座敷だから、待っていて下さらなけりゃ承知しない、たって帰ると仰言るなら、断ってしまって側についてる、とそんなことを云ってるうちに、村尾さんの、ぞっとするほど冷い眼にぶっつかりました。あたしにはよく分っています。断るなら初めから断ったらいいと、そういう意味でしょうが、あたしにしてみれば、夜遅く、中貰いに一寸でもというお座敷へは、顔を出しておかないと、肩身がせまいというわけもあって……そんなことを考えていると、もう芸者も嫌だし、世の中