Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよがみのはる
千代紙の春
小川 未明
Lesen Sie 千代紙の春 (ちよがみのはる) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.985 Zeichen · 11 Bildschirme
町はずれの、ある橋のそばで、一人のおじいさんが、こいを売っていました。おじいさんは、今朝そのこいを問屋から請けてきたのでした。そして、長い間、ここに店を出して、通る人々に向かって、
「さあ、こいを買ってください。まけておきますから。」と、人の顔を見ながらいっていました。
人たちの中では、立ち止まって見てゆくものもあれば、知らぬ顔をして、さっさといってしまうものもありました。しかし、おじいさんは、根気よく同じことをいっていました。
そうするうちに、「これは珍しいこいだ。」といって、買ってゆくものもありました。そして、暮れ方までには、小さなこいは、たいてい売りつくしてしまいました。けれど、いちばん大きなこいは売れずに、盤台の中に残っていました。
おじいさんは、大きなのが売れないので、気が気でありませんでした。どうかして、それをはやく、あたりが暗くならないうちに売ってしまいたいと、焦っていました。
「さあ、大きなこいをまけておきますから、買ってください。」と、しきりにおじいさんはわめいていました。
みんな通る人は、そのこいに目をつけてゆきました。
「大きなこいだな。