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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくまがわのスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎 藤村

Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme

Aozora Bunko

「しかし私の時には定屋様(地主)がお出なさると、必と一升買って、何がなくとも香の物で一杯上げるという風でした。今年は悴に任しときましたから、彼奴はまたどんな風にするか……私の時には昔からそうでした」

こう隠居は私に話して笑った。

そのうちに家の外では「定屋さんになア、来て御くんなんしょって、早く行って来てくれや」という辰さんの声がする。日の光は急に戸口より射し入り、暗い南の明窓も明るくなった。「ああ、日が射して来た、先刻までは雪模様でしたが、こりゃ好い塩梅だ」と復た辰さんが言っていた。

細帯締た娘は茶を入れて私達の方へ持って来てくれた。炬燵にあたっていた無口な女は、ぷいと台所の方へ行った。

隠居は小声に成って、

「私も唯一人ですし、平常は誰も訪ねて来るものが無いんです。年寄ですからねえ……ですから置いてくれというので、ああいうものを引受けて同居さしたところが忰が不服で黙ってあんなものを入れたって言いますのさ」

「飯なぞは炊いてくれるんですか」と私が聞いた。

「それですよ、世間の人はそう思う。ところが私は炊いて貰わない。どうしてそんな事をしようものなら皆な食われて了う……そこは私もなかなか狡いや。