Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
「野郎」、「この野郎」、と互に顔を引掻きながら、相撲を取って遊んでいた。
何処の子供も一種の俳優だ。私という見物がそこに立って眺めると、彼等は一層調子づいた。これ見よがしに危い石垣の上へ登るのもあれば、「怪我しるぞ」と下に居て呼ぶのもある。その中で、体躯の小な子供に何歳に成るかと聞いてみた。
「おら、五歳」とその子供が答えた。
水車小屋の向うの方で、他の少年の群らしい声がした。そこに遊んでいた子供の中には、それを聞きつけて、急に馳出すのもあった。
「来ねえか、この野郎――ホラ、手を引かれろ」
とさすがに兄らしいのが、年下の子供の手を助けるように引いた。
「やい、米でも食え」
こんなことを言って、いきなり其処にある草を毟って、朋輩の口の中へ捻込むのもあった。
すると、片方も黙ってはいない。覚えておれと言わないばかりに、「この野郎」と叫んだ。
「畜生!」一方は軽蔑した調子で。
「ナニ? この野郎」片方は石を拾って投げつける。
「いやだいやだ」
と笑いながら逃げて行く子供を、片方は棒を持って追馳けた。乳呑児を背負ったまま、その後を追って行くのもあった。
君、こういう光景を私は学校の往還に毎日のように目撃する。