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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくまがわのスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎 藤村

Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme

Aozora Bunko

朝日は谷々へ射して来た。

田圃道の草露は足を濡らして、かゆい。私はその間を歩き廻って、蟋蟀の啼くのを聞いた。

この節、浅間は日によって八回も煙を噴くことがある。

「ああ復た浅間が焼ける」と土地の人は言い合うのが癖だ。男や女が仕事しかけた手を休めて、屋外へ出て見るとか、空を仰ぐとかする時は、きっと浅間の方に非常に大きな煙の団が望まれる。そういう時だけ火山の麓に住んでいるような心地を起させる。こういうところに住み慣れたものは、平素は、そんなことも忘れ勝ちに暮している。

浅間は大きな爆発の為に崩されたような山で、今いう牙歯山が往時の噴火口の跡であったろうとは、誰しも思うことだ。何か山の形状に一定した面白味でもあるかと思って来る旅人は、大概失望する。浅間ばかりでなく、蓼科山脈の方を眺めても、何の奇も無い山々ばかりだ。唯、面白いのは山の空気だ。昨日出て見た山と、今日出て見た山とは、殆んど毎日のように変っている。

山中生活

理学士の住んでいる家のあたりは、荒町の裏手で、酢屋のKという娘の家の大きな醤油蔵の窓なぞが見える。その横について荒町の通へ出ると、畳表、鰹節、茶、雑貨などを商う店々の軒を並べたところに、可成大きな鍛冶屋がある。