Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
猛烈な冬の威力を示すものは、あの霜だ。そこへ行くと、雪の方はまだしも感じが柔かい。降り積る雪はむしろ平和な感じを抱かせる。
十月末のある朝のことであった。私は家の裏口へ出て、深い秋雨のために色づいた柿の葉が面白いように地へ下るのを見た。肉の厚い柿の葉は霜のために焼け損われたり、縮れたりはしないが、朝日があたって来て霜のゆるむ頃には、重さに堪えないで脆く落ちる。しばらく私はそこに立って、茫然と眺めていた位だ。そして、その朝は殊に烈しい霜の来たことを思った。
落葉の二
十一月に入って急に寒さを増した。天長節の朝、起出して見ると、一面に霜が来ていて、桑畠も野菜畠も家々の屋根も皆な白く見渡される。裏口の柿の葉は一時に落ちて、道も埋れるばかりであった。すこしも風は無い。それでいて一葉二葉ずつ静かに地へ下る。屋根の上の方で鳴く雀も、いつもよりは高くいさましそうに聞えた。
空はドンヨリとして、霧のために全く灰色に見えるような日だった。私は勝手元の焚火に凍えた両手をかざしたく成った。足袋を穿いた爪先も寒くしみて、いかにも可恐しい冬の近よって来ることを感じた。