Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
風を背後にした人は飛ぶようで、風に向って行く人は又、力を出して物を押すように見えた。
土も、岩も、人の皮膚の色も、私の眼には灰色に見えた。日光そのものが黄ばんだ灰色だ。その日の木枯が野山を吹きまくる光景は凄まじく、烈しく、又勇ましくもあった。樹木という樹木の枝は撓み、幹も動揺し、柳、竹の類は草のように靡いた。柿の実で梢に残ったのは吹き落された。梅、李、桜、欅、銀杏なぞの霜葉は、その一日で悉く落ちた。そして、そこここに聚った落葉が風に吹かれては舞い揚った。急に山々の景色は淋しく、明るく成った。
炬燵話
私が君に山上の冬を待受けることの奈様に恐るべきかを話した。しかしその長い寒い冬の季節が又、信濃に於ける最も趣の多い、最も楽しい時であることをも告げなければ成らぬ。
それには先ず自分の身体のことを話そう。そうだ。この山国へ移り住んだ当時、土地慣れない私は風邪を引き易くて困った。こんなことで凌いで行かれるかと思う位だった。実際、人間の器官は生活に必要な程度に応じて発達すると言われるが、丁度私の身体にもそれに適したことが起って来た。次第に私は烈しい気候の刺激に抵抗し得るように成った。