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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちくまがわのスケッチ

千曲川のスケッチ

島崎 藤村

Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme

Aozora Bunko

東京に居た頃から見ると、私は自分の皮膚が殊に丈夫に成ったことを感ずる。私の肺は極く冷い山の空気を呼吸するに堪えられる。のみならず、私は春先まで枯葉の落ちないあの椚林を鳴らす寒い風の音を聞いたり、真白に霜の来た葱畠を眺めたりして、屋の外を歩き廻る度に、こういう地方に住むものでなければ知らないような、一種刺すような快感を覚えるように成った。

草木までも、ここに成長するものは、柔い気候の中にあるものとは違って見える。多くの常磐樹の緑がここでは重く黒ずんで見えるのも、自然の消息を語っている。試みに君が武蔵野辺の緑を見た眼で、ここの礫地に繁茂する赤松の林なぞを望んだなら、色相の相違だけにも驚くであろう。

ある朝、私は深い霧の中を学校の方へ出掛けたことが有った。五六町先は見えないほどの道を歩いて行くと、これから野面へ働きに行こうとする農夫、番小屋の側にションボリ立っている線路番人、霧に湿りながら貨物の車を押す中牛馬の男なぞに逢った。そして私は――私自身それを感ずるように――この人達の手なぞが真紅に腫れるほどの寒い朝でも、皆な見かけほど気候に臆してはいないということを知った。