Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
その灰色に幾通りあるか知れない。私は学校の暇々に、自分でも鍬を執って、すこしばかりの野菜を作ってみているが、どうしても未だ彼等の心には入れない。
こうは言うものの、百姓の好きな私は、どうかいう機会を作って、彼等に近づくことを楽みとする。
赤い茅萱の霜枯れた草土手に腰掛け、桟俵を尻に敷き、田へ両足を投出しながら、ある日、私は小作する人達の側に居た。その一人は学校の小使の辰さんで、一人は彼の父、一人は彼の弟だ。辰さん親子は麦畠の「サク」を掛け起していたが、私の方へ来ては休み休み種々な話をした。雨、風、日光、鳥、虫、雑草、土、気候、そういうものは無くて叶わぬものでありながら、又百姓が敵として戦わねば成らないものでもある。そんなことから、この辺の百姓が苦むという種々な雑草の話が出た。水沢瀉、えご、夜這蔓、山牛蒡、つる草、蓬、蛇苺、あけびの蔓、がくもんじ(天王草)その他田の草取る時の邪魔ものは、私なぞの記憶しきれないほど有る。辰さんは田の中から、一塊の土を取って来て、青い毛のような草の根が隠れていることを私に示した。それは「ひょうひょう草」とか言った。この人達は又、その中から種々な薬草を見分けることを知っていた。