Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
鍬を肩に掛けて、岡づたいに家の方へ帰って行く頬冠りの男もあった。鎌を二挺持ち、乳呑児を背中に乗せて、「おつかれ」と言いつつ通過ぎる女もあった。
眼前の父子が打つ槌の音はトントンと忙しく成った。
「フン」、「ヨウ」の掛声も幽かに泄れて来た。そのうちに、父はへなへなした俵を取出した。腰を延ばして塵埃の中を眺める女もあった。田の中には黄な籾の山を成した。
その時は最早暮色が薄く迫った。小諸の町つづきと、かなたの山々の間にある谷には、白い夕靄が立ち籠めた。向うの岡の道を帰って行く農夫も見えた。
私はもうすこし辛抱して、と思って見ていると、父の農夫が籾をつめた俵に縄を掛けて、それを負いながら家を指して運んで行く様子だ。今は三人の女が主に成って働いた。岡辺も暮れかかって来て、野面に居て働くものも無くなる。向うの田の中に居る夫婦者の姿もよく見えない程に成った。
光岳寺の暮鐘が響き渡った。浅間も次第に暮れ、紫色に夕映した山々は何時しか暗い鉛色と成って、唯白い煙のみが暗紫色の空に望まれた。急に野面がパッと明るく成ったかと思うと、復た響き渡る鐘の音を聞いた。私の側には、青々とした菜を負って帰って行く子供もあり、男とも女とも後姿の分らないようなのが足速に岡の道を下って行くもあり、そうかと思うと、上着のまま細帯も締めないで、まるで