Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ
島崎 藤村
Lesen Sie 千曲川のスケッチ (ちくまがわのスケッチ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.668 Zeichen · 164 Bildschirme
一体にこの辺では麺類を賞美する。私はある農家で一週に一度ずつ上等の晩餐に麺類を用うるという家を知っている。蕎麦はもとより名物だ。酒盛の後の蕎麦振舞と言えば本式の馳走に成っている。それから、「お煮掛」と称えて、手製のうどんに野菜を入れて煮たのも、常食に用いられる。揚羽屋へ寄って、大鍋のかけてある炉辺に腰掛けて、煙の目にしみるような盛んな焚火にあたっていると、私はよく人々が土足のままでそこに集りながら好物のうでだしうどんに温熱を取るのを見かける。「お豆腐のたきたては奈何でごわす」などと言って、内儀さんが大丼に熱い豆腐の露を盛って出す。亭主も手拭を腰にブラサゲて出て来て、自分の子息が子供相撲に弓を取った自慢話なぞを始める。
そこは下層の労働者、馬方、近在の小百姓なぞが、酒を温めて貰うところだ。こういう暗い屋根の下も、煤けた壁も、汚れた人々の顔も、それほど私には苦に成らなく成った。私は往来に繋いである馬の鳴声なぞを聞きながら、そこで凍えた身体を温める。荒くれた人達の話や笑声に耳を傾ける。次第に心易くなってみれば、亭主が一ぜんめしの看板を張替えたからと言って、それを書くことなぞまで頼まれたりする。