Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちどり

千鳥

鈴木 三重吉

Lesen Sie 千鳥 (ちどり) von 鈴木 三重吉 (すずきみえきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.951 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

一曲りずつ下りるにつれて、女の歌っているのがおいおいに鮮かに聞き取れる。

「ねんねしなされ、おやすみなされ。鶏がないたら起きなされ」と歌う。艶やかな声である。

「おきて往なんせ、東が白む。館々の鶏が啼く」と丘を下りてしまうと、歌うのは角の豆腐屋のお仙である。すべてこの島の女はよく唄を歌う。機を織るにも畠を打つにも、舟を漕ぐにも馬を曳くにも、働く時にはいつも歌う。朝から晩まで歌っている。行くところに歌の揚らぬことがあれば、そこには若い女がいないのである。若い女はみんな歌う。そしてお仙なぞは一番うまい組のようである。

お仙は外に背中を向けて豆を挽いている。野袴をつけた若者が二人、畠の道具を門口へ転がしたまま、黒燻りの竈の前に踞んで煙草を喫んでいる。破れた唐紙の陰には、大黒頭巾を着た爺さんが、火鉢を抱えこんで、人形のように坐っている。真っ白い長い顎髯は、豆腐屋の爺さんには洒落すぎたものである。

「おかしかしかし樫の葉は白い。今の娘の歯は白い」

お仙は若い者がいるので得意になって歌っている。家について曲ると、

「青木さんよう」と、呼び止める。人並よりよほど広い額に頭痛膏をべたべたと貼り塞いでいる。