Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちどり

千鳥

鈴木 三重吉

Lesen Sie 千鳥 (ちどり) von 鈴木 三重吉 (すずきみえきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.951 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

昨夕の干潟の烏のようである。

「昨日来なんしたげなの。わしゃちょうど馬を換えに行っとりましての」と、手を休めて、

「乗りなんせい。今度のもおとなしゅうがんすわいの」と言ったかと思うと、またすぐに歌になる。

「親が二十で子が二十一。どこで算用が違たやら」

「ようい、よい」と野袴の一人が囃す。

横の馬小屋を覗いてみたが、中に馬はいなかった。馬小屋のはずれから、道の片側を無花果の木が長く続いている。自分はその影を踏んで行く。両方は一段低くなった麦畠である。お仙の歌はおいおいに聞えなくなる。ふと藤さんの事が胸に浮んでくる。藤さんはもう一と月も逗留しているのだと言った。そして毎日鬱いでばかりいたと言った。何か訳があるのであろう。昨夜小母さんがにわかに黙ってしまったのは、眠いからばかりではなかったらしい。どういうことなのであろうかとしきりに考えてみる。

後から鈴の音が来る。自分はわが考えの中で鳴るのかと思う。前から藁を背負った男が来る。後で、

「ごめんなんせ」という。振り向くと、馬の鼻が肩のところに覗いている。小走りに百姓家の軒下へ避ける。そこには土間で機を織っている。