Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちどり

千鳥

鈴木 三重吉

Lesen Sie 千鳥 (ちどり) von 鈴木 三重吉 (すずきみえきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.951 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

丘の上の一つ家の黄昏に、こんな思いも設けぬ女の人がのこりと現れて、さも親しい仲のように対してくる。かつて見も知らねば、どこの誰という見当もつかぬ。自分はただもじもじと帯上を畳んでいたが、やっと、

「おばさんもみんな留守なんだそうですね」とはじめて口を聞く。

「あの、今日は午過ぎから、みんなで大根を引きに行ったんですの」

「どの畠へ出てるんですか。――私ちょっと行ってみましょう」

「いいえ、もうただ今お長をやりましたから大騒ぎをして帰っていらっしゃいますわ」

「さっき私は誰もいないのだと思って、一人でずんずんここへ上ってきたんでした」と言って、お長が手枕の真似をしたことを胸に浮べる。女の人は少し頭痛がしたので奥で寝んでいたところ、お長が裏口へ廻って、障子を叩いて起してくれたのだと言う。

「もう何ともございません」と伏し目になる。起きて着物をちゃんとして出てきたものらしい。ややあって、

「あなたはこの節は少しはおよろしい方でございますか」と聞く。自分の事は何でもすっかり知っているような口ぶりである。

「どうもやっぱり頭がはきはきしません。じつは一年休学することにしたんです」