Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
半七捕物帳
岡本 綺堂
Lesen Sie 半七捕物帳 (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.208 Zeichen · 30 Bildschirme
彼は頻りにその時の礼を云っていた。
「よいお天気になりまして結構でございます。旦那様、今日はどちらへ……」
「丁度いい所でおまえに逢った。お前もこの近所だそうだが、ここらにおきんという辻占売りの家はねえかしら」
「へえ。おきんはわたくしの近所におりましたが、昨年の暮から何処へか行ってしまいましたよ」
「本人はいなくっても、親か兄妹があるだろう。ひとり者じゃあるめえ」
「それが旦那。こういう訳なんでございますよ」と、徳寿は仔細らしく話した。
「おきんは兄貴と二人で暮していたんですが、その兄貴の寅松というのは博奕打ちの道楽者でしてね。おきんのゆくえが知れなくなると、それから半月ばかり経って、これも何処へか夜逃げのように姿を隠してしまいました。なんでも博奕場で喧嘩をして、人に傷をつけたとかいうので、それが面倒になって何処へか飛んで行ってしまったらしいんです。そういうわけですから、家はもう空店になってしまって、二、三日中にほかの人が越して来るとかいう噂でございます」
田町の重兵衛が眼をつけているのは、おきんの問題より恐らくこの寅松に関係している事件であろうと半七は想像した。