Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

半七捕物帳

岡本 綺堂

Lesen Sie 半七捕物帳 (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.208 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

妹も先頃からゆくえ知れずになってしまって、何処にどうしているか判らないから、家出の日を命日だと思って、どうか御回向を願いたい……。わたくしが承知してやったら、寅松もたいそう喜んで、礼を云って帰りました」

寺を出ると、庄太はささやいた。

「なるほど、寅松という野郎は変ですね」

「むむ。どうしても野郎を引き挙げなけりゃあいけねえ。博奕を打つというから友達もあるだろう。おめえ、なんとか工夫してそいつの居どこを突き留めてくれ」

「ええ、なんとかなりましょう」

「頼んだぜ」

二人は約束して別れた。そのあくる日、半七の女房が馬道の庄太の家へ見舞にゆくと、子供の麻疹が思いのほかに重くなって、庄太夫婦も手放すことが出来ないらしかった。その話を聴いて、寅松の一件も当分は埒があくまいと半七は思っていると、果たして庄太はその後ちっとも姿をみせなかった。二月にはいってから暖い日和がつづいたので、もう春が来たものと欺されていると、それから四、五日たって夕方から急に寒くなって来た。夜中から降り出したと見えて、朝起きてみると真っ白になっていた。

「春の雪だ。大したことはあるめえ」

こう云っているうちに雪はやんで、四ツ(午前十時)頃には、屋根から融けて落ちる音が忙がしそうにきこえた。