Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
半七捕物帳
岡本 綺堂
Lesen Sie 半七捕物帳 (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.208 Zeichen · 30 Bildschirme
と、徳寿は鼻の頭の汗を手の甲で拭きながら云った。
「変な話だね」と、半七は笑った。「どういうわけで気味が悪いんだろう。判らねえな」
「わたくしにも判りません。ただ何となしに襟もとから水を浴びせられたように、からだ中がぞっとするんです。眼が見えませんからなんにも判りませんけれど、なにかこう、おかしなものが傍にでも坐っているような工合で……。まったく変でございますよ」
「一体あの寮には誰が来ているんだね」
「誰袖さんという花魁でございます。二十一二の勤め盛りで、凄いような美い女だそうでございますが、去年の霜月頃から用事をつけて、あの寮へ出養生に来ているんでございますよ」
「暮から春へかけて店を引いているようじゃあ、よっぽど悪いんだろうね」
それ程でもないらしいと徳寿は云った。勿論、盲人の彼には詳しい様子もわからないが、いわゆるぶらぶら病いで寝たり起きたりしているらしいとの事であった。それにしても、その辰伊勢の寮がなぜそれほどに気味が悪いというのか、その仔細が半七には判らなかった。徳寿がもうたくさんだと辞退するのを、無理に蕎麦の代りを取らせて、かれは酒を飲みながらおもむろにその仔細を訊き出そうとした。