Japanische Klassiker mit Furigana
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はんのすけしゅうげん
半之助祝言
山本 周五郎
Lesen Sie 半之助祝言 (はんのすけしゅうげん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.997 Zeichen · 44 Bildschirme
令嬢の皮肉など痛くも痒くもないという顔である。
「――ところが愚劣な人間がいるもので、あれは戦略上不都合だなどと云う、道路が曲折していてこそ、いざ合戦のときその角々で防戦ができるというんです、へ、……それは戦争をどう思ってるんでしょう、生死を賭した合戦に、敵の軍勢が曲りくねった道を曲りくねったなりに進んで来るでしょうか、そんなばあいに交通道徳を守る軍隊があるでしょうか、……知れたことです、風上から火をかけて焼き払いますよ、碁盤目も曲折もへちまもありゃしません、さっぱり焼き払って攻めますよ」
「たいへん失礼ですけれど、貴方のお手番ではないでしょうか」
「かれらはまたこんなことも云います」笙子嬢の注意などまったく無視して、彼は平気な顔で言葉を続けた。
「――道路を変更したために古くから繁昌していた老舗がこれこれ倒産し、これこれの人間が井戸へ身を投げ、自暴自棄になり、夫婦別れをし、身をもち崩して一家ちりぢり、実に無惨だの滑ったの転んだの、女の腐ったような愚痴泣き言を並べるんです、いったいかれらは政治をどう考えているんでしょうか、……こんな劃期的な都市改造、歴史的な大改修に当って、老舗の五十軒や百軒がなんですか、町人どもの百人や千人、倒産しようが井戸へ跳び込もうが、夫婦離別一家ちりぢり、当然すぎて可笑しいくらいのものです