Japanische Klassiker mit Furigana
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みなみさんのこいびと
南さんの恋人
豊島 与志雄
Lesen Sie 南さんの恋人 (みなみさんのこいびと) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.630 Zeichen · 36 Bildschirme
水気がきて脹れそうな、そういう締りのたりないところがあり、そのくせ頬の肉附にちょっと険があり、その代り眉に柔かな円みがあって眼が細かった。だから二人が抱きあってるとしても、親子みたいで、少しも猥らな感じはなかった。
これはいい、とおれは思って微笑した。
だが、南さんは泣いてるんだ。
「……駄目なんです、僕はほんとに駄目なんです。中心の心棒みたいなものが、精神か感情かの心棒みたいなものが、なくなってるんです。そして身の持ち方の、しめくくりというか、垣根というか、そうしたものがなくなって、埓をふみ越してしまうんです。一本か二本だけ飲もうと、そう思っていると、つい酔うまで飲んでしまって、そしてあちこち飲み歩いて、とんでもないことをしでかすんです。うちあけて云います。僕は家を空けたことはありませんが、売笑婦を買うこともあれば、みずてん芸者を買うこともあります。許して下さい。どうにも仕様がないんです。然し、信じて下さい、これだけは信じて下さい、愛してる女なんか一人もないんです。」
山根さんは、眉をしかめもしなければ、微笑みもしないで、南さんを抱きかかえたまま、考え深そうな眼を伏せていた。