Japanische Klassiker mit Furigana
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なんぼくのとうかいどうよつやかいだん
南北の東海道四谷怪談
田中 貢太郎
Lesen Sie 南北の東海道四谷怪談 (なんぼくのとうかいどうよつやかいだん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.555 Zeichen · 34 Bildschirme
と云って、ていさいのいいことを云った。するとお梅が帯の間から剃刀を出して自害しようとするので、驚いていると、今度は喜兵衛が、
「伊右衛門殿、わしを殺してくだされ」
と云って、お梅の可愛さのあまり、伊右衛門とお岩の仲を割くために血の道の妙薬と云って、顔の容の変わる毒薬をお槇に持たせてやったと云った。
伊右衛門はそこでお梅を女房にすることにして帰って来たところであった。伊右衛門は上へあがってお岩の寝ている蚊帳の傍へ往った。嬰児に添乳をしていたお岩は気配を感じた。
「油を買ってきたの」
お岩は伊右衛門の留守に、油を買いに往った宅悦が帰って来たのだと思った。伊右衛門は顔をさし出すようにした。
「おれだよ」
お岩は其の声で伊右衛門だと云うことを知った。
「伊右衛門殿」
「うむ、今帰ったが、さっきの薬を飲んだか」
「はい、彼のお薬を服むと、其のまま熱が出て顔が痛うて」
「そうか、顔が」
「痺れるようでござりました」
お岩はそう云いながら蚊帳の裾をめくって出て来た。伊右衛門は其の顔に注意した。お岩の顔は紫色に脹れあがっているうえに、左の瞼が三日月形に突き潰したように垂れていた。