Japanische Klassiker mit Furigana
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なんちしんじゅう
南地心中
泉 鏡花
Lesen Sie 南地心中 (なんちしんじゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.205 Zeichen · 79 Bildschirme
「やあ、居る……」
と、思わず初阪が声を立てる、ト両側を詰めた屋ごとの店、累り合って露店もあり。軒にも、路にも、透間のない人立したが、いずれも言合せたように、その後姿を見送っていたらしいから、一見赤毛布のその風采で、慌しく(居る、)と云えば、件の婦に吃驚した事は、往来の人の、近間なのには残らず分った。
意気な案内者大に弱って、
「驚いては不可ません。天満の青物市です。……それ、真正面に、御鳥居を御覧なさい。」
はじめて心付くと、先刻視めた城に対して、稜威は高し、宮居の屋根。雲に連なる甍の棟は、玉を刻んだ峰である。
向って鳥居から町一筋、朝市の済んだあと、日蔽の葭簀を払った、両側の組柱は、鉄橋の木賃に似て、男も婦も、折から市人の服装は皆黒いのに、一ツ鮮麗に行く美人の姿のために、さながら、市松障子の屋台した、菊の花壇のごとくに見えた。
「音に聞いた天満の市へ、突然入ったから驚いたんです。」
「そうでしょう。」
擦違った人は、初阪の顔を見て皆笑を含む。
両人は苦笑した。
「ほっこり、暖い、暖い。」
蒸芋の湯気の中に、紺の鯉口した女房が、ぬっくりと立って呼ぶ。
「おでんや、おでん!」